第49章 カカオフィズ
Ken side
タクシーを降りて
斗真に凭れながら歩く
健「ん~~…とーまー…」
斗「おゎ,なんですかっ…もぉ…頑張ってください,もう少しですから…」
なんだかんだ言いながら
世話を焼いてくれる
こーゆーところは
坂本くんと一緒…
他は全然違うけどね…
斗「はい,着きましたよっ…鍵ありますか…?」
健「ん…ぽっけ」
腰を突き出して
ズボンの右ポケットを差し出すと
斗真が慌てる
斗「自分で取ってくださいよ」
健「無理~~」
斗「…健くん…」
健「はい,とって?」
見上げると,はぁ~…と深いため息をついて俺のズボンに手を伸ばした
健「やだ,斗真ってばっエッチ」
斗「もぉ…いい加減にしてくださいよ?」
口調は怒ってるけど,顔は笑ってる
…良かった…
ポケットから取り出した鍵で玄関をあけると斗真の躰が離れて行く
斗「じゃ…俺,返ります…」
健「ダメっ…」
斗「玄関までですってば…」
健「俺無理だもん…ここで朝になるかも…」
こんな見え透いた嘘
ただ斗真を引き留めたいだけ
健「俺が風邪ひいたらどーすんの?」
斗「ふ…ははっ…なんの脅しですか,それ…」
怒られてもおかしくない嘘なのに
斗真は声を上げて笑ってくれて
斗「負けました…」
そう言って家の中に入ってくれた