第49章 カカオフィズ
Ken side
毎回遠慮する斗真に
タクシー代を渡して
でもその代わりに
家まで送ってもらう
なるべく独りになりたくないから…
それに今日は…
なんとなく離れたくなくて
タクシーに乗ってからも
ずっと斗真に身を預けていた
落ち着く…ホントに…
斗「…くん…健くん…」
耳元で斗真の声が響いて
ビクッと躰が跳ねた
斗「あ…ごめんなさい…着きましたよ…」
気づいたら寝てたみたいで
タクシーは俺の家の傍に停まっていた
健「あ…うん…寝てた…」
斗「ふふ…そーみたいですね…大丈夫ですか?」
聞かれて,大丈夫…と答えそうになって思わず口を閉じた
離れたくないな…
斗「健くん?」
斗真が心配そうにのぞき込んでくる
俺がわがまま言ったら…斗真…怒るかな?
健「無理ぃ~…斗真…送って?」
酔ったふりをして
するんと斗真の腕に絡みついた
斗「っ…え…あ…家に…ですか?」
いつもと違う俺の言葉に
慌てる斗真がすごく可愛く思えた
健「ほかにどこに連れてくんだよ」
笑いながら斗真を見上げる
目が合うと,恥ずかしそうに視線を反らした
斗「あ…じゃぁ…ここでいいです…俺もおります…」
運転手にそう伝えて
俺の渡したお金を払い
俺を支えてタクシーを降りた
…俺のワガママ…聞いてくれた…
斗「歩けますか?」
斗真の手がしっかり腰を支えていて
その手が触れる俺の躰が
やけに熱く感じた