第49章 カカオフィズ
Ken side
斗「いいですよね~…健くんは…何もしなくても一緒に居られるんだから…」
程よくお酒が回ってきて
またいつもの文句が斗真から飛び出す
健「…よくねーよ…」
俺もいつもの返答をする
斗「健くん俺に譲ってくださいよ」
健「坂本くんはモノじゃねーよ」
斗「だって…いつも邪魔するから…」
口を尖らせて俯いた
斗真は…まだ本気で坂本くんを好きなのかな…
こんな長い間…実ってないのに…
健「おまえさ…いいかげん諦めないの?」
俺は自分が諦められないのを
斗真のせいにしてる
斗真が諦めたら
俺も諦められる気がする
それって…坂本くんを本気で好きって言うのかな…
斗「……健くんは…諦められるんですか?」
逆に質問された
質問には答えずにアルコールを喉に流し込んだ
甘いカクテルがのどの奥に染みる
簡単に…諦められるくらいなら…もうとっくに諦めてる…
俺達の気持ちはたぶん同じ…
でも…もし…斗真が諦めるなら…俺はきっと諦める…
独りではもう…頑張れない…
健「簡単には諦められないけど…俺はもう…見込みないから…」
胸が酒に焼けたように痛かった
斗「健くんがそんな弱気なんて…珍しいですね…」
斗真は俺をジッと見つめて
向かい側に座っていた位置を移動して
俺の隣に寄り添った
斗「健くんがそんなだと…おれ調子狂っちゃいますよ…」
ポタっと膝に滴が落ちた
それを見えないように
斗真が自分の胸へ俺の頭を引き寄せてくれた