第49章 カカオフィズ
Ken side
斗真はジュニアの頃から坂本くんが好き…
これは…俺だけが知ってるんだと思う
俺が,ずっと坂本くんを好きなコトも…
知ってるのは斗真だけ
坂本くんは知ってか知らずか
俺達の間に挟まって
ひとしきり笑って
いつの間にかいなくなってる…いつも
健「坂本くんいっちゃたじゃんか…」
斗「こっちのセリフですよ…たまには二人で喋らせてくださいよ…」
何年俺たちが想い続けていても
何も届いていない…
抜け駆けして「好き」って言ったこともある
でも笑って「さんきゅっ」って言われた
それは…同じグループとして…
これ以上近づいちゃいけない合図
ずっと傍に居たいから…
俺はこれ以上進めない
もうとっくに見込みがないのに
傍に居るからこそ…
諦められない
それに…
斗「あーあ…せっかく久しぶりに会えたのになぁ…」
斗真がまだ諦めてないから…
健「もー仕事行けよっ」
斗「まだ早いんですよ」
健「自分の楽屋に帰れっ」
斗「だって俺,楽屋一人だから…」
…ズルイ…
不意に寂しい表情を見せられると
何も言えなくなる
俺は仲間だからこそ想いをぶつけられない
でも斗真はこうでもしなきゃ
傍にも居られないから…
頑張ってる…
ずっと…ひたむきに…
こんな想いを抱えて
俺達はずっと…長い年月をすごしてる
健「おまえ…例の彼女は?」
斗「続くわけないですよ…そんなの…健くんもですよね?」
俺は…たぶん女の子は無理…
付き合ったことはあるけど
ドキドキもしないし
可愛いとも思わない
疲れるだけだから作るのもやめた
健「今日…飲みにいく?」
斗「…坂本くん誘ってくれます?」
健「…いつも誘ってはいるんだけどね…」
一度も来てはくれない
他のメンバーが一緒じゃないと
近寄れないのは俺も一緒
もう…いい加減諦めなきゃいけないけど…
諦めたら…俺はどーすればいいのか…
斗「…じゃ…終わったら連絡します」
健「あぁ…うん…俺も…」
斗「ちゃんと…坂本くん誘ってくださいね」
斗真は笑って,皆にあいさつしながら出ていった
「誘ってくださいね」が「諦めないでくださいね」に聞こえた
入れ違いに坂本くんが戻ってきて
姿を見ると胸が痛んだ
この痛みを知っているのは
斗真だけ…
今出ていったばかりの斗真に
早く会いたいと思った