第47章 チューリップ
Jun side
翔くんに連れてこられたのは
確か…初デートの帰り…
一緒に夜景を見に来た公園
その奥にあった建物…
その扉を翔くんが開けてくれて
翔「入って…?」
促されて足を一歩踏み入れた
なんで…この場所に来たのか…
それを考えるだけで涙が溢れそうになる…
それを誤魔化すように
天井を仰ぐと
ステンドグラス越しに
何色もの綺麗な光が入ってきていて…
潤「ぅあ……キレイ…」
思わず小さく声が漏れた
左右に並ぶ椅子の間を
翔くんが歩いていって
その少し後ろを
足が震えるのを感じながら
カラフルな光に視線を遣ってついていく
その先にあった小さなテーブル
その手前まで翔くんがたどり着いて
ゆっくり俺を振り返った
真っ白な建物の中
キレイな光に包まれて
翔「潤…こっち…来て?」
優しく微笑いかけられて
じわり…と堪えきれない涙が目尻に浮かんだ
服の袖でこっそり拭って
前を向き直すと
目の前に翔くんが来ていて…
手を差し出された
その手を握って
1歩…2歩…さっき翔くんがいたところまで進むと
ふわっと抱き締められて
翔くんの躰が離れた
翔「潤…」
俺を見つめて俺を呼ぶ翔くんを
しっかり見つめ返して…
潤「はい…」
出た声は緊張で小さくなった