第47章 チューリップ
Sho side
収録に行く準備をして
まだわりと早い時間に家を出た
潤の家の来客用スペースに車を止めて
合鍵で家の中に入る
寝室では布団に包まって
小さくなって眠る潤の姿があった
二人寝ても十分な広さのベッドの端に小さくなって…
寂しかったかな…?
いつも俺が寝てるスペースが空いてるのが嬉しくて
その場所に横になって
潤を布団ごと抱き寄せた
翔「じゅん…おはよ…」
抱きしめたまま
額にキスを落とす
潤「ん…え?…翔くんっ??」
俺,起きなかった??と慌てて躰を起こす
翔「直接起こしたくて早めに来ただけだから大丈夫」
そう言って抱き寄せて
今度は唇を塞いだ
潤が作ってくれた朝食を二人で食べて早々に家を出る
夕方からレギュラーの収録だから
それまでに東京に戻らないといけないから…
潤「遠いの?」
翔「ちょっとね,横浜だよ」
潤「横浜??」
思い当たる節がないのか,潤は首を傾げて車窓を眺めていた
翔「ここ,覚えてる??」
潤「あ…うん…夜景見に来たね…昔…海の帰りに…」
…潤も覚えてたんだ
小さなことだけど嬉しくなった
翔「この奥にね…一緒に行きたいところがあるんだ…」
車を止めて,横浜の港が見える公園を奥へ進んでいく
平日の午前中だから
有り難いことに人はほとんどいない
キョロキョロしながら歩く潤の横を
ポケットに小さな箱が入ってることを確認しながら歩いた
潤「え…ここ?」
翔「うん…入ろ?」
人気のない建物
建物こそ錆びれているけど
屋根や入り口にはまだ輝く十字架が掲げられていた
あたりを確認しながら
白い扉をゆっくりと開けた