第46章 ヒヤシンス
Sho side
今まで聞けなかった…
聞くのが怖かった潤の言葉を
ちゃんと…聞き逃さないように耳を傾けた
潤の「不安」をもっと早く受け止めていたら…
こんな風にすれ違うことはなかったのかもしれない
もっと…自分の気持ちに正直になっていたら…
小栗くんの言葉に
きちんと自分で反論することも
心配ない…と胸を張って言うことも…できたはずなのに…
翔「…ごめん…」
やっぱり情けなくて…
12年…俺は潤の隣で何をしてきたんだろう…と虚しくなる
潤「なんで…?翔くんは悪くないから…」
謝らないで…と潤は言うけど…
結局…逃げたのは俺
翔「…潤は…こんな俺でいいの…?」
今更どうしたって…
小栗くんの言う通り
あの時反論できなかった俺は
潤を幸せにすることなんて
できないのかもしれない…
潤「翔くんじゃなきゃ嫌だって言ってるだろっ」
俯く俺の肩をグッと押して
無理矢理潤と向かい合わせにされる
おこされた躰に合わせて
ゆっくり視線を潤に向けると
瞳から綺麗な涙が流れていた
潤「翔くんは俺と…居て…幸せじゃないの…?」
不安気に揺れる瞳から次々と流れる滴
翔「そんなわけないだろ…幸せだよ…潤が居なきゃ…生きていけねーよ…」
離れてみて痛いほどよくわかった…
潤が居ないと
何も手に着かない
潤が居るのが当たり前すぎて
何をするにも潤の影を追っていた
潤「じゃぁ…離さないでよ…ずっと傍にいてよ…」
涙を流しながら
強く強く俺を抱きしめてきた
翔「うん…ごめん…」
謝ったら,また怒られた
だから言葉の代わりに
めいっぱい抱きしめ返した
もうこの温もりを離したくないから…
……潤は強い
ホントは守られているのはいつも俺の方で…
潤は…いつも真っすぐに俺を見つめてくれていたのに…