第46章 ヒヤシンス
Jun side
旬の名前を出すと…
電話で旬から「櫻井くんにも同じことを言った」と聞いたときの
息が止まるような感覚が襲ってくる
翔「それはっ…小栗くんは…潤の事をホントに心配してるんだよ…だから…小栗くんも潤も悪くないだろ?」
そう言われて
潤「わかってるよ…旬の気持ちも…」
視線をあげて翔くんを見ると
ふっとすこしだけ翔くんの表情が和らいだ気がした
でも…翔くんだって悪くない…
旬もそこをわかってくれてる…
だからちゃんと話さなきゃ…
潤「斗真が…」
突然斗真の名前を出してしまって
疑問をもった翔くんの視線を受けて
潤「ちょっと待って…」
少しずつ頭の中を整理した
それと同時に
ようやく翔くんと話すことができて
伝えたかったことが伝えられて
翔くんに抱き締めて貰えて…
翔くんが戻ってきてくれたから…
この部屋に入ったときより
気持ちが落ち着いてきた
目の前の翔くんを見ると
立ったまま
コートも羽織ったままなことに気づいて
潤「長くなるから…座ろう?」
背中に回していた腕を解いて
指先で翔くんの指先に触れると
翔「わかった」
その指を絡めて繋いでくれて
その感覚が嬉しくて…また涙が滲んだ
並んでソファに座って
もう一度深呼吸をしてから
潤「俺…翔くんにも甘えてて…周りにも甘えてて…旬も認めてくれたんだって思って…だから翔くんの様子が違った理由も…旬の様子にも…気づけなかった…」
ゆっくりと口を開いた
俺が気づけなかったことを斗真が教えてくれたこと
旬に電話して…話した内容…
翔くんがいてくれればそれで幸せなんだと
その気持ちをもう一度ちゃんと伝えながら
旬も俺の気持ちをわかってくれて
「櫻井くんにも謝っておいてほしい」と言われたこと
順序を辿りながら
全部話し終わるまで
繋いだ指先を離さないまま
黙って翔くんは聞いてくれていた