第46章 ヒヤシンス
Jun side
斗「翔くん…その気持ち気づいてたんじゃない?」
ずっと黙っていた斗真が
ソファを背凭れにしながら呟いた
潤「…は?」
零れる涙をティッシュで抑えながら聞き返すと
斗「わかんないけどね?
でも翔くんは潤をずっと見てるから…
潤の不安にも気づいてたんじゃないかなって…」
そう言われて…今更そこに気づいた…
俺が気づいてない不調にも気づいてくれたり…
どんな小さなことでも翔くんは俺より俺をわかってくれていた…
でも…
潤「なんでそれで出ていくって…」
ひとり言のように言った言葉に
斗「他にもなにか…あったんじゃねーの…?」
そう言われて記憶をたどるけど…
潤「他,なんて…」
何も思いつかない…
突然斗真が
斗「あ」
缶をテーブルに置いて言った
潤「…なんだよ」
床に散らかったティッシュを纏めながら視線を遣ると
斗「いや…」
ハッキリしない返事が返ってきた
気にはなるけど…追求するのは…今はめんどくさい
それより…
他の何か,なんてわかんないけど
翔くんと話したい…
求めすぎていたんだって…
目に見えるカタチなんてなくても
翔くんがいてくれればそれでいいんだって
それだけでも…
もう遅いのかもしれないけど…
ちゃんと伝えたくて
携帯を手に取ると
大野さんとニノから着信があった
心配してくれてるのかな…
ごめん…と心の中で謝って
翔くんにもう一度電話をかけてみるけど…
やっぱり通じることはなかった
でも…
諦めるわけにはいかない…
ぐっと携帯を握りしめて
翔くんからの連絡をなにがあっても待とうと思った