第46章 ヒヤシンス
Sho side
和『こんばんは』
ニノからの電話は雅紀のとは違って
落ち着いたトーンだった
これもこれで安心するんだけどね
翔「こんばんは…」
和『何かありました?って聞いていいの?』
ニノはこの辺ストレートに聞いてくれる
雅紀の遠回しな優しさにも救われるし
ニノのこういう所もありがたい
和『おじさんがね,心配だから電話しろしろってうるさいんですよ…』
智『んだよ,俺のせいにすんなよっ』
遠くから智くんの声も聞こえてきた
しばらく,受話器の向こうでごちゃごちゃと盛り上がってる
…幸せそう…だな…
俺達だって…こんな風に幸せだと思ってたのに…
どこで間違えたんだろう…
和『翔くん…?』
翔「あぁ…また今度話すから…聞かないでくれる?」
こちらもストレートに返す
和『わかりました………何か助けが必要ならいつでも…』
押しつけがましくなく
言葉を選んでフォローしてくれる
ありがたい存在…
翔「さんきゅ…」
電話を切ろうとすると
ニノに『待って』と言われて
智くんが電話に出た
智『ちゃんと向き合わなきゃならないこともあるからね?』
智くんからの思いがけない言葉に
思わず「はい」と答えた
智『これさ…翔くんが俺に言ったんだよ…』
和『あとね…ちゃんと言葉にしないと伝わらないこともあるよって…私は潤くんに言われました』
『今の二人にはきっと必要な言葉でしょ?』
二人は穏やかに伝えてくれた
電話が終わって
そのままベッドに顔を埋めた
ニノの言葉,智くんの言葉,雅紀の言葉…
次々に頭の中に響いた
このままじゃダメなことはわかってる…
でも…もう少し…
潤の言葉…小栗くんの言葉…
頭の中がそっちに支配されていく
潤…幸せになって…
俺のいない潤の将来の“幸せ”を
心から願えるようになるまで
思い切り泣いてもいいかな…