第46章 ヒヤシンス
Jun side
斗「お邪魔しまーす」
潤の家久しぶりだなーなんて明るく言いながら斗真がリビングに入っていく
キッチンに寄って飲み物と
グラスをとろうと棚を開けて…
翔くんと俺のお揃いのグラスが目に入った
この間…ここで蕎麦を食べていたときに
一緒に使っていたグラス…
その前で立ち尽くしていると
斗「俺ビールね」
後ろから開けたままの冷蔵庫に手が伸びてきた
その後ろをついて
ラグの上に向かい合って腰を降ろした
斗「…で?」
沈黙が流れる中聞かれて…
でも俺はそれの答えなんて持っていない
潤「ほんとになんでもねーから…」
それだけ言うと
テーブルの上にあったティッシュを差し出された
斗「涙目でそんなこと言われても」
苦笑しながらぐっと胸元にティッシュを押し付けられる
それでも何も言えないでいると
斗「なんかさ…この間飲んだときから変だったよね」
それと関係してんの?って言われて…
潤「…帰り?」
斗「んー…割とはじめから?」
オーラが違ったと言う斗真に
潤「オーラって」
思わず笑いが漏れた
斗「喧嘩…じゃなさそうだね」
俺が何を言っていいかわからないから…
斗真が話を引き出してくれる
ほんとに…いつも助けられてる…
素直に感謝なんてしたことないけど
潤「…俺が求めすぎたのかな…」
その優しさにつられて
ポツリ…ポツリ…と言葉が零れていった
結婚する友達が増えたこと
俺達のこの先を考えてしまうこと
でも…隣にいられればそれで幸せで…
だけど確かなカタチがほしい…
俺も幸せだと言葉だけでも欲しかった…
そして
翔くんが突然出ていってしまって…
連絡も取れなくて…
順序もぐちゃぐちゃな話を
最後まで黙って聞いてくれていた