第46章 ヒヤシンス
Sho side
雅『翔ちゃん出ておいでよ,飲もう♪』
雅紀の明るい声が電話口から聞こえてくる
雅『翔ちゃん聞いてる?』
俺が何も喋らなくても
雅紀のトーンは変わらない
雅『ねぇ松にぃ…翔ちゃんが喋ってくれなーい…』
翔「聞いてるよ」
いちいち松岡くんの名前を出さないでくれ…
雅『ね,今日はもう仕事ないし,明日も11時でしょ?確認済みだよ♪』
天然なようでそういう所はぬかりない…
まぁ…松岡くんの入れ知恵かもしれないけど
翔「今日は無理…予定入ってるから」
雅『じゃぁ~明日っ』
翔「明日も無理…」
雅『…明後日…?』
翔「…お前が忙しいだろ…」
雅『さすがだねー!よく知ってるね♪』
…はぁ…
雅紀は優しい…
見て無いようで人の事を良く見てる
俺と潤の事を一番早く気づいて
ずっと見守ってくれていたのも雅紀
だから…たぶん今日の俺と潤の様子を見て電話してきてくれるんだと思う
翔「大丈夫だよ…ありがと…」
俺が言うと今度は雅紀が黙った
こっちの様子を伺うように俺の言葉を待っていた
翔「今はちょっとまだ自分の中でも整理がついてないから…」
雅「え…整理って…?」
その言葉に何も返せなかった
「潤とわかれようと思う」その言葉が喉まで出かかって飲み込んだ
言葉にしてしまったら
すべてが終わる気がして
ただ…俺は逃げているだけ…
翔「とにかく,今度ちゃんと話すから…心配しないで…ありがとな」
それだけ言って電話を切った
…ごめん…
今は…ちゃんと考えたい
これからの事を自分自身で…
そう思ったのに
また携帯が鳴る
デイスプレイは
〔二宮 和也〕
…この人たち…実は暇なのかな…
無視しても無駄なことは
もう十分わかってるから
すぐに電話をとった