第46章 ヒヤシンス
Jun side
どうしたら翔くんと話せる…?
帰りの車内でそんなことばっかりが
ひたすら頭の中をぐるぐると回る
自宅に着くまでよく事故らなかったと思うくらいに…
駐車場に入ってエンジンを切ろうとしたところで
ポケットの中で携帯が震えた
潤「翔くんっ!?」
誰かも確認しないで言葉を発して
あ…やばい…と思ったとき
斗『お前相手くらい確認しろよ
今何してんの?』
耳元で親友の笑い声が聞こえた
翔くんとは違うけど
安心するその声にせっかく止まってた涙が滲んでくる
斗『もしもーし…潤,聞いてる?』
潤「ごめ…聞いてる…どうした…?」
涙声にならないように押し殺して出した声は明らかに変な声で…
斗『飲みに誘おうかと思ったんだけど…なんかあった?』
そんなの斗真にはすぐ見抜かれる
でも…
潤「なんもねーよ…悪いけど飲む気分じゃない…」
何があったのかなんて
俺もまだ頭の中で整理しきれてないのに…
そんなこと聞かれてもわかんない…
斗『珍し…まあいいや,今からそっち行くねー』
そう言って勝手に電話が切られた
心配が伝わってくる斗真の言葉に
少し気持ちがあったかくなったような感覚がした
そのまま携帯でメッセージアプリを起動して
既読はついてるけど返信はないままの
翔くんとの会話履歴を眺めていると
―コンコン
いつの間にか時間が経っていたのか
窓が叩かれて
斗「ずっと車ん中で何やってんだよ」
潤の好きな音楽聞こえたから
どこにいるかなんてすぐわかったわ
そう言って苦笑する斗真がいた