第46章 ヒヤシンス
Sho side
逃げるしかなかった
まだ潤とちゃんと話はできない
自分の中の整理がついてないから
特に仕事の予定もないのに
マネージャーの車で
早々にホテルに戻ってきた
「お疲れさまでした…明日は11時に迎えに来ます」
業務連絡を受けて車を降りた
「あの…いつまでここにいる予定ですか?」
遠慮がちに聞かれて
俺は首を振った
翔「まだわかんない…誰にも言わないで」
俺の言葉にマネージャーも首を振る
「…限界がありますよ…防犯上の問題もありますし…だったら上に話してもっとちゃんとしたホテル…」
翔「なるべく早く…家には帰るから…お願いします…」
俺の態度に渋々「わかりました」と答えてくれた
ホテルの部屋に戻ってベッドに倒れ込んだ
家に戻るなら
潤とちゃんと話をしなきゃいけない…
「翔くんは…俺と居て幸せ?」
…潤のあの言葉の意味…
表情の意味…
「潤は…俺と居て幸せ?」そう聞けばよかったのかな…
そしたらきっと「もちろん」って答えてくれただろうな…
でも…違うんだよ…
そういうことじゃない…
結局…俺たちはその先に何もないから…
「潤の将来」を考えたら
離れるしかないんだ
放り投げた鞄の中で携帯が振動した
仕事かもしれないから一応確認する
ディスプレイは〔相葉 雅紀〕
潤が何か言って
それでかけてきたのかもしれないから
出るのをやめた
しばらくねばって着信は切れた
でもまたすぐに振動する
〔電話出て~〕
そのあとすぐにまた着信
切れたらメッセージ
〔お願いー〕
着信
〔翔ちゃん翔ちゃん翔ちゃん翔ちゃん〕
着信
…しつこい…
〔呪うよ?〕
怖いわ…
着信
〔松にぃに言うよ?〕
…は?…もっと怖ぇ…
次の着信で仕方なく電話に出た
翔「…はい…」
雅『やった!でたぁ!さすが松にぃ♡…翔ちゃん遅いよー』
電話の向こうの
やけに明るい声を聞いて
固まった躰から少しだけ力が抜けた