第46章 ヒヤシンス
Jun side
潤「ありがとうございました」
雑誌の撮影…雑誌の取材…
今日の予定の仕事が終わった
立ち上がってスタジオを出ようとすると
「松本さん…ゆっくり休んでくださいね?」
馴染みの記者さんに言われた
潤「…え?」
「お疲れのようなので…」
心配そうに眉を下げて言うから
潤「大丈夫です…ありがとうございます」
笑って返すとホッとしたように笑い返してきた
こんなときでもカメラの前では笑えるし
こうやってアイドルスマイルだってできる
だけど…
いつものように談笑する余裕はなくて
すぐに楽屋に戻った
マネージャーに家まで送ってもらって
すぐに自分の車で翔くんの家に向かう
途中
[翔くん家に行っていい?話がしたい…]
そう送ったメールにはやっぱり返信がなかった
潤「お邪魔します…」
慣れた翔くんの家に入るとまだ翔くんはいなくて
そのままソファに腰を降ろした
クッションを抱き締めると
潤「…ぅ…んっぅっ…」
翔くんの香りがして堪えてた涙が止まらなくなる
帰って来るまで何時まででも待つつもりで
重い躰をソファに沈めると
いつの間にか眠ってしまっていた
潤「…ん…っ」
ふわっと意識が浮上して目を開けると
部屋は真っ暗で…
ポケットから出した携帯には
新着の通知はないまま
もう少しで日付が変わることを知らせていた
そのまま朝方まで起きていたけど
玄関のドアが開くことはなかった
潤「どこにいるの……?」
静かな部屋の中に俺の声だけが小さく響いた