第46章 ヒヤシンス
Jun side
雨に躰を打たれながら
何度も翔くんの携帯を鳴らしたけど…
それが翔くんに通じることはなかった
潤「…っくしゅ…」
自分のくしゃみの音で
ひたすらにかけ続けていた携帯から意識が離れた
…家に入らなきゃ…
ゆっくりと立ち上がると
雨を吸い込んだ服が重たく躰にまとわりついた
なんとか家までたどりついて
リビングに座り込む
ああ…ラグが濡れる…
そう思うのに動く気力が出てこない
なんでこんなことになったんだっけ…
俺が幸せかどうかなんて聞いたから…?
でも翔くんはその前から様子が変だった…?
潤「っく…ぅ…っ」
頭が正常に働かない
とめどなく溢れる涙が頬を濡らす
濡れた服のまま気づいたらソファに突っ伏していた
どこかから携帯の音が聞こえて
潤「っ,はい!」
飛び起きて携帯を耳にあてた
翔くん!?と続きそうになった言葉は
「松本さん!?遅刻しますよ!」
耳元で聞こえたマネージャーの声に遮られた
潤「あ……今行く」
なんかまだ言ってたけど
誰かと話す気力もなくて通話を勝手に終えた
濡れたままの服は躰に貼り付いていて…
立ち上がると躰が重怠い
カバンの中に携帯を放り込んだときに
手に触れたのは…翔くんの家の鍵
今日はソロの仕事だから…
確か翔くんもZEROの取材とか言ってたから…
仕事が終わったら会いに行こう…
ちゃんと話がしたい…
ぐっと鍵を握り締めて
マネージャーの待つ車に向かった