第46章 ヒヤシンス
Sho side
旬「潤は…幸せ?」
親友として,潤のことを心配する
小栗くんの視線が
徐々に鋭く俺に向けられてくるのを感じた
軽蔑…とは違うけど責められているような…そんな視線
潤「ま,そーゆーことだから,よろしくね~」
酒を煽りながら明るく言う潤に
「うん」と小さく答えていた
斗「12年…ってすごいよなぁ…」
旬「二人とも,いろんな女の子と噂が絶えないのにね」
潤「あんなん嘘ばっかりだろ?」
3人はまた普通に会話を始める
酒を飲み交わして,笑い合っていた
でも…俺はどうしても
その会話に上手く加わることはできなかった
そして時折,斜め前から向けられる視線に居心地が悪くなっていった
翔「ちょっとトイレ…」
席を立って一息ついた
解ってる…完全に受け入れてくれる人ばかりじゃないってことは…
でも,小栗くんは潤の親友だから…
俺のせいで潤と小栗くんの関係が悪くなるのは嫌だった
旬「櫻井くん…」
トイレの洗面台で気持ちを落ち着かせていたのに
俺を呼ぶその声にまた心臓が落ち着かなくなった
翔「…あぁ…どうしたの…?」
動揺を悟られないように
なるべく笑顔を作って返事をした
旬「本当に幸せなの…?」
翔「え…?」
俺の笑顔とは対照的に
小栗くんは思いつめた表情をしていた
旬「12年も…って…今までは若かったけど…この先も?結婚とか…子供とか…は?」
まくしたてるわけでもなく
淡々と、一つ一つ言葉が突き刺さる
旬「潤の両親…俺の子供見て…孫とか…すごい楽しみにしてて…アイドルだから…って誤魔化してたけど…そんなんじゃ一生無理ってことだよね…?」
もう小栗くんの顔を見てることはできなくなった
一番言われたくないことを…
一番言われたくない人に…
旬「櫻井くんだけが悪いとは言わないけど…潤はきっと俺の言うことなんて聞かないし…本当に潤の事を好きなら…潤の将来の事も考えてやってほしい…」
小栗くんはジッと俺を見ていた
俺はその視線を感じながらも
どうしても振り向けなかった