第46章 ヒヤシンス
Jun side
“いい奥さん”
斗真のその言葉が今の俺には嬉しかった
仲間内だけだけど…
できない結婚をしている気分になれるから…
だからアルコールが入ってたのもあって
旬も認めてくれるはずだと思った
旬「………え…?」
戸惑った旬の声に顔を向けないまま
潤「俺翔くんと付き合ってるんだ…」
そう言って翔くんを見上げると
翔「あ…」
俺と視線が絡んで小さく声を出したあと
翔「びっくりさせて…ごめんね?」
遠慮がちに旬に微笑いかけた
旬「え……ほんとなの…?」
その声にようやく旬に視線を向けると
真偽を確かめるように
俺と翔くんと斗真を交互に見ていた
潤「ほんとだよ?」
そう言うとじっと旬に見つめられて…
それから逃れるように斗真を見ると
斗「もう10年くらい?」
それだけ言ってビールを口に運んだ
潤「ん,12年
隠しててごめんね?一応…特殊な関係だしさ」
自分で言った“特殊な関係”その言葉が俺の中で重たく響いた
旬「ふぅん…」
なぁ…と呼びかけられて旬に視線を戻す
旬「潤は…幸せ?」
その質問に
抱きついた翔くんの腕にぎゅっと顔を埋めた
潤「…幸せだよ」
好きな人といられるんだから
これ以上の幸せなんてあるわけない
心の中でそう呟いて
視線を下に向けたままビールのグラスに手をかけたから
旬の瞳に気づけなかった