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FIVE COLOR STORM

第3章 ドルフィン*Dolphin*


〈潤〉

夜…
再び潤の病室に忍び寄る黒い影

これで最後…

そう思って扉を開けた

潤は布団をかぶって寝ていて

暗闇の中手さぐりで
その布団を少しだけ捲った

綺麗な整った顔

一目見て釘付けになった

自分に向かって無邪気に微笑むその顔が大好きになった

もっと近くで見たい
いろんな表情が見たい

そう思うようになった

こんなやり方は
意味もないし
間違ってるとも思う

でも…

直接言う勇気もない…

また近くにあったバンダナで
潤の瞳を覆う

直後,そっと潤の唇に影が落ちた

柔らかい影は潤の唇を
何度も確かめるように啄んだ

それに夢中になっているうちに
潤の手がゆっくりと動いて

黒い影の服をそっと握った

それにも影は気づかない

潤はその感触をしっかり味わいながら

潤「…っ…相葉さん…」

ほんの少し唇が離れた隙に
小さく小さく呟いた

ビクッと肩を震わせる影

潤は服を掴んでいた手を首に回して
躰を自分の方へ引き寄せた

潤「…相葉さんでしょ?見えなくてもわかるよ…」

耳元でそっと囁いた

少しの間固まって
大人しくしていた影が
慌ててもがき始める

潤「待ってっ…やだっ…離したくないっ」

「っ……っ…」

小さな息遣いだけが潤の耳に届く

潤「ね…相葉さんっ…俺…相葉さんのこと…好き…」

もがく躰をがっちり抑えつけながら
潤ははっきりとそう告げた

「……っ……ぅっ…」

潤の突然の告白に
またしばらく固まっていた影

今度は熱い吐息の漏れる音
そして…潤の肩が温かく濡れた

潤「相葉さん…?」

潤は震える躰をギュッと抱きしめた

潤「好きなんだ…だから…逃げないで…?俺も…相葉さんの顔が見たい…」

言いながら片手で瞳を覆っていた布を剥がした

まだ顔は見えない

でもふわっと顔にかかる髪が
柔らかくて

近くに感じる爽やかな香りが
バンダナと同じで

抱きしめた温もりは
変わらず優しかった

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