第3章 ドルフィン*Dolphin*
〈潤〉
次の日…
目が覚めるとすぐに
潤は真相を確かめるために動いた
ここまでされてもうジッとしてることなんてできない
とにかく確かめなくちゃいけない…
女性の患者や看護師ではない
男性の中でも
やっぱり特に親しくしてる人だと思う
抱きしめられたときにそう感じた
院内で特に仲良くなったのは5人だけ
智は手を怪我してるから除外される
看護師の斗真は…抱きついた感触が違った
和也医師も…たぶん違う…
売店の店員の雅紀か清掃員の翔…
どちらかに的を絞った
翔がどこで掃除をしてるかわからなかったから
とりあえず潤は売店に来て雅紀の様子を伺った
雅「いらっしゃいませ~」
遠くから雅紀を眺めると
いつものように明るい笑顔を振りまいて
お客や患者に優しく接していた
雅「もぉ~…やめろよ~」
たまに,同僚の店員とじゃれ合う
ズキンと潤は胸が痛んだ
雅「あれ??潤ちゃんっ!!」
かなり遠くの物陰にいたのに
雅紀が潤に気づいて駆け寄ってきた
雅「潤ちゃんっ…大丈夫??」
潤「…え?」
雅「どこか…怪我とかしてない??」
潤「…足…怪我してるけど…」
何をいまさら当たり前のことを言ってるんだ…と潤が首を傾げると
雅紀は心配そうな顔から一転
パッと笑顔を見せた
雅「あははっ…そっか!!変わりない??」
潤「…うん…もう退院できるって…」
今朝,回診の時に和也医師にそう言われたのを思い出した
雅「えっ…あ…そっかぁ…良かった…おめでとう…」
雅紀は優しく笑って
潤の頭を優しく撫でた
潤「え…っ」
突然の行動に潤はびっくりして固まった
雅「あっ…ごめん…潤ちゃんは子供じゃないのにねっ…子供達と仲良くなること多いから…ついっ…」
雅紀は慌てて言い訳をした
潤「…ひどいな…」
雅「ごめんねっ…あ…いらっしゃいませっ!!!」
雅紀は潤に両手を合わせて拝んで見せて
慌てて仕事に戻って行った