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FIVE COLOR STORM

第3章 ドルフィン*Dolphin*


<潤>

潤「いっ…てー……」

深夜の病室に響く潤の声

その声は病室を出ていったばかりの影にも聞こえている

影はその場に立ち止まってチラリと後ろを振り返ったけど…

今戻ったら確実にバレてしまう
そんなことになったらもう潤と話すこともできないかもしれない…
潤のことは心配だけれど…

そう思いながら後ろ髪引かれる思いで帰っていった


潤は床に蹲ったまま
なんとか乱れたズボンだけを引き上げると

足を打ってズキズキと多少痛むのと
少し高さのあるベッドに
腕の力だけでは登れそうになくて

ナースコールに手を伸ばした

『松本さん?どうしました?』

すぐに聞こえてくる聞き慣れた声

潤「ベッドから落ちちゃって…」

落ちた理由なんて言えないから
聞かれたらどうしようかと潤は思っていたけど

斗「潤くん大丈夫ですか?体動かしますね?」

今日は偶然…夜勤だったのか
すぐに潤の部屋に来た斗真は理由なんて聞くことなく

潤の躰を抱えるように支えてぐっとベッドの上に引き上げた

必然的に密着する躰…

潤はさっきあの人に抱き締めてもらった感覚を思い出す…

思わず潤は斗真の躰にぎゅっとしがみついた

斗「えっ…潤くんっ?」

慌てた斗真が身じろいだことで
ふわりと大きく香るあのにおい…

それは…やっぱりバンダナに残る香りと似ている

潤「なんでもない…ありがとう」

だけど潤を抱き締めたあの人は
ナース服の感触ではなかった気がする…

潤の腕から開放された斗真は
おやすみなさいと微笑んで病室を出ていった

潤はその後ろ姿を躰に残る熱を感じながら
あの人に触られた躰を自分の両腕で抱き締めて見送った
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