第3章 ドルフィン*Dolphin*
<潤>
あの出来事から数日経っても
結局何もわからないまま潤は入院生活を送っていた
潤「ふぁー…」
それでも順調に怪我は少しずつ回復してきて
松葉杖も慣れた最近は
昼間の散歩時間も増えて
消灯時間になるとすぐに眠気が襲ってくる
今日も消灯して少し経つと
潤はベッドの中で気持ちよさそうに寝息をたてていた
しばらく経って
深夜に近くなった頃
いつかと同じように
ゆっくりと潤の病室に黒い影が入ってきて
ベッドの潤に近づくと
ポケットから取り出したバンダナで
そっと影が潤の目を覆った
そして唇にふわりと影を落としてから
潤の布団を捲った
そのまま入院着の前を肌蹴て
ぐっすり眠る潤のキレイな肌に手のひらで触れる
潤「んっ…」
その感覚に身を捩る潤を軽く抑えて
更に影は堪能するように潤の肌を撫でる
時折優しく唇を重ねながら…
でも
暗闇の中指先が潤の胸の飾りに触れてしまった瞬間
潤「ぁ…っ…ん…」
ピクンと潤の躰が跳ねて
潤が瞼を開けた
でも目を開けた先は
目隠しをされて真っ暗で何も見えない
潤「えっ?え…なに…っ?」
慌てる潤を見て影も慌てる
バンダナも肌蹴させた服もそのままに
手探りで目元の布を払う潤に見られないうちに
影は開いたままだったカーテンの隙間から影が外に飛び出して行った
潤「なに…だれ…?」
片手にバンダナを持った潤は
自分の状態を見ながら呟く
ただ…あのときと同じ
怖さはそこにはほとんどない
肌の上に微かに残るぬくもりを求めて
自分の胸元に潤は手を置いた