第3章 ドルフィン*Dolphin*
<雅紀>
雅「潤ちゃ~んっ」
潤「うぁっ…」
病室に勢いよく雅紀が入って来た
まさに…
熱の灯った躰を自己処理をしようとしていた潤は
びっくりして布団を被った
雅「あり…?潤ちゃん…!?どうしたの??大丈夫??痛い??先生呼ぶ!?」
雅紀は慌てふためいて
泣きそうになりながら声を掛けた
潤「い,いいっ…大丈夫…だから…」
なんとか布団で躰を隠しながら
潤は布団から顔を上げた
雅「ホントに??無理してない…?」
心配そうな雅紀の綺麗な顔が潤の目の前にあって
潤はさらに躰の熱がぐるぐる巡るのを感じた
潤「ホントに…大丈夫…」
雅紀は売店で知り合ってから
2日と開けず潤の病室を訪れて
何かしらの差し入れをしていた
潤も悪いとは思いつつ
痛い思いをして運び込まれ
退屈な入院生活を余儀なくされた身としては
親切にしてくれたり
仲良くしてくれることに
決して悪い気はしなかった
雅「でも潤ちゃん…今日…ちょっと…」
不意に潤の顔に雅紀の手が近づいた
躰をビクッと跳ねさせた潤の額に
雅紀の掌がピトッと張り付いた
雅「熱ある…?なんか…顔が赤いよ…?」
雅紀の手が触れる額から
沸騰するように熱が回って
潤は思わず布団に突っ伏した
雅「え??潤ちゃん!?」
慌てた雅紀が潤を抱きしめる
ふわっといい香りが漂って
温もりと,匂いと感触…
耳元で響く掠れた声…
全てが潤を煽る材料にしかならなかった
潤「違っ……大丈夫…だから…あの…」
潤はやんわりと雅紀の手を自分から離してベッド際へ身を引いた
雅「潤ちゃん…」
潤「ホント…平気だから…今日は…ちょっと疲れてるみたいだから…俺…寝るね…ごめんなさい…」
雅紀が離れたのを確認して
潤はまた布団をかぶった
潤の熱い躰のあちこちに雅紀の優しい感触が残っていた