第3章 ドルフィン*Dolphin*
<和也>
和「松本さーん…大丈夫ですか?」
さっきまでいてくれた斗真と入れ替わりで
和也が病室に入ってきた
その声に潤が視線を向けると
ふっと和也は微笑みながら
和「ちょっと触りますね?」
折れてる方の脚に手を伸ばした
和「患部の痛みはどうですか?」
その優しい手つきに…
潤を見る可愛い笑顔に…
潤「今はもう…大丈夫です…」
熱くなりそうな頬を隠して答えると
和「患部の周囲も大丈夫ですか?」
和也の手がギプスをしている部分の上…
太股に触れた
ちょっと押すようにしながら
内腿を触られて
潤「んっ…」
痛みとは違う意味で声を思わず漏らす潤
躰に熱が流れ込んでくるのがわかった
和「痛いですか…?」
そんな潤の顔を覗き込む和也
でも真っ赤に染まった頬を見て
入院してて溜まってるんだろう…と察する
潤「やっ…痛くない…大丈夫…です」
だけど必死に顔を振って否定する潤は可愛くて
和「潤くん,我慢しちゃダメだよ?」
そう言いながら和也は潤と顔を近づける
潤の視線は思わずその薄めの唇にいく
和「何かあったら言ってね?」
目の前で動く唇…
潤がそれに気を取られていると
和「潤くん?聞いてますか?」
トンと肩を和也に叩かれた
潤「あっ…はい…」
和「じゃあ何かあったら呼んでくださいね?あ…ティッシュ…使う?」
近くの棚に置いてあったティッシュの箱を枕元に置いた和也は
そのまま病室を出ていった
気づかれてた事実に潤は益々顔を赤く染めながら
触れられた手の感触と
目の前にあった唇を忘れられずに
ベッドの上で息を吐き出した