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FIVE COLOR STORM

第3章 ドルフィン*Dolphin*


<斗真>

松葉杖をついて部屋から出る潤を見つけて
斗真が声を掛けた

斗「松本さん,もうお出かけするんですか?」

潤「ぅあっ…っ」

いきなり声を掛けられて
昨日の事で頭がいっぱいだった潤は
びっくりしてバランスを崩した

斗「危ないっ」

斗真はとっさに抱きしめるように潤を抱える

潤「っあ…っ…」

ドクンと潤の心臓が大きく跳ねた
躰に熱が灯るのがわかる

斗「びっくりしたー…大丈夫ですか?」

覗き込むと潤が頬を染めて自分を見ていることに気づいて
斗真は思わず目を逸らした

斗「す…すいません…いきなり声をかけたから…」

潤「いえ…あの…」

潤は目の前にある斗真の唇が気になって仕方なくて
目を離すことができない

この唇に触れたら
もしかしたらわかるかもしれない…

そんな風に思いながら思わず手が伸びる

斗「あ…あのっ…松本さん!?」

顔に近づいてくる手に驚いて
斗真は思わず支えていた躰を離してしまった

潤「あっ…ぅぁっ…」

斗「あ…っ」

そのまま崩れ落ちるようにその場に転がった潤の躰

斗「ご…ごめんなさいっ…すいませんっ…大丈夫ですか!?」

痛くて言葉にならない潤は
再び躰を支えて抱き起してくれた斗真にしがみ付いた

そのうち別の看護師も来て
また病室に逆戻りする

斗「すぐ先生呼んできますから…」

ベッドに寝かせられて
その場を離れようとする斗真の服を
潤は掴んだまま離さなかった

斗「…松本さん…ごめんなさい…」

髪を撫でると
少しだけ躰の力が抜けて
和らいだ表情で首を振った

潤「こっちこそ…ごめん…」

服を掴んでいた手に手を添えると
それを包むように繋ぎ直した

潤「しばらくこうしててもいい?」

斗「……はい…」

潤は抱きしめられた感触が忘れられなくて
一生懸命昨日の記憶と繋ぎ合わせた
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