• テキストサイズ

FIVE COLOR STORM

第3章 ドルフィン*Dolphin*


<和也>

トントン…

軽いノックと共に
薄い眼鏡をかけた和也医師が
ゆっくりと病室に入って来た

和「こんにちは,松本さん…」

潤「あ…先生…」

潤は医者を前にするとなぜか緊張して鼓動が早くなる

和「どうですか…?まだ痛い?」

ゆったりとした口調のまま顔を覗かれて
思わずふっと視線を逸らした

潤「ん…大丈夫…です…」

ドキドキして視線が合わせられないまま答える潤の頬に
和也医師はそっと手を添えた

和「そっか…でも,我慢しないでね?」

潤「っ…ハイ…」

赤くなる顔を必死に隠して
潤はなんとか返事をする

そんな潤を可愛い…と思いつつ
職務をまっとうするためにそっと手を離す

ふぅ…と潤は息を吐いた

和「潤くん…何か困ったことはないですか?」

いきなり‟潤くん”と呼ばれて
またドキドキする

思わず「ないデス」と言いかけて

潤「あ…」

困ったことを一つ思い出した

和「何?なんでも言って?」

にっこりと…女の子みたいな笑顔で微笑む和也医師

見つめられて,言うのを躊躇していた潤が
きゅっと唇を噛み締めてから口を開いた

潤「…ぁの…トイレ…行きたい…」

発した言葉は小さくて
でも和也医師はしっかりと聞き取っていた

和「あー…そーだよね…今は足吊ってて行かれないから…尿瓶もってきてあげる…」

潤「え!?」

尿瓶…

まさかそんな事態になると思わなくて
潤は慌てた

和「…でも看護師さんたち忙しそうだからなぁ…」

和也医師はくいっと首を傾げてにっこり微笑んだ

和「よしっ,僕が特別にやってあげる」

潤「え!?」

和也医師は「ちょっと待ってて?」と部屋を出て行って

すぐに爽やかな笑顔と尿瓶と共に部屋に戻って来た

和「さぁ…潤くん…しよっか?」

潤「は…い…」

サッと音を響かせてクリーム色のカーテンが引かれた

/ 97ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp