第3章 3
Satoshi side
和「ねぇ…あのヒトを抱いたように,俺を抱いてみて…」
そんなコトできる訳がない,と思う
だってリンは和也の代わりで
本当にそれ以上の感情なんて抱いたことがなくて
気持ちいい,だとか
そんなことすら行為中に考えたことがなかった
智「それは…できない…」
涙が溢れてくる
ごめん,と何度許しを求めても
全てを見せろ,と言う
お前の代わりだったんだ,と
感情もないセックスをお前にはできない,と
どれだけ訴えようとも受け入れられることはなくて
触るな,と冷たく突き放される
肩を痛いほど強く掴まれて
首筋から耳へと和也の舌が這う
智「…っ,ふ…ぅ…」
涙の合間にその刺激で吐息が零れる
和「智,あのヒトと同じように抱いて?」
耳元で囁かれて
和也の方を向けば絡まる視線
その瞳には苦痛が浮かんでいて
きっとこの要求を受け入れなければ
和也を苦しめるだけなんだ,と思った
だから
智「……わかった」
ごめん…ともう1度呟いて
起き上がってた躰を押し倒す
何も考えないようにして
ただ欲を吐き出すことだけを意識して
和也の身を隠す衣服を剥ぎ取る
胸に苦しい程の痛みが走る
それでも和也はもっと苦しいはずだ,と
こんな痛みで少しでも和也が楽になるなら
それを受け入れよう,と覚悟を決めて
露になった裸体に舌を這わせた