• テキストサイズ

大野さんのバカ

第3章 3


Satoshi side

抱き締めても
ニノの腕が俺の躰に回ることはなくて

でもだからこそ

今この時間だけじゃなく
多分ニノとの距離を置こうと考えた頃から

上手く働くことのなかった思考が
正常に働き出す

今更正常になっても遅いのはわかってるんだけれど

冷静になって考えれば
わからないはずがなかった

いくら仲が良いからといっても
いくら快感を得ていたからといっても

ニノは何年も好きでもない奴と
関係を持ち続けるような奴じゃない

ましてや俺は男でニノも男で

こんな特異な関係,仲良しってだけで
続けられるモノじゃなかったのに

智「…和…也…?」

反応を伺ってもただ見つめ返されるだけで

智「ずっと…好きだったんだ…」

怖くて伝えることのできなかった言葉を
もう1度想いを込めてしっかり紡ぐ

ニノの手が首に回って躰が倒される

でもその手に力が込められるコトはなくて

智「俺を殺したい?」

頷くニノの瞳は辛く痛く揺れていて

智「殺したいと思うほど…俺を好きでいてくれてたの…?」

ニノの気持ちがわかった今
そんな感情すらも愛しく思える

その言葉を聞いたニノの瞳から涙が流れて

俺の首から手が離れた

和「許せない…」

そう小さく呟くニノの瞳からは
涙がとめどなく溢れていて

智「…ごめん…ごめんな…」

起き上がってさっきよりも強く
その背中に腕を回した
/ 149ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp