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大野さんのバカ

第3章 3


Kazunari side

しばらくの間,何も言わず
抱きしめ返すこともしないで
ただ,じっと智の腕に包まれていた

…知ってるよ,あんたがどれだけ
俺を愛しているかなんて
誰よりも知ってるんだよ…

それなのに…あんたは…

…苦しめてごめん…?
俺が何に苦しめられているかなんて
何もわかってない癖に…

智「…和…也…?」

遠慮がちに呼んで俺の反応を確認する

触るな…

そう言ってやりたい

あんたから与えられるものなんか
もう何も信じたくない

…そう思うのに
この腕を再び振り払うことはできなくて
ただ,ジッとその瞳を見つめ返した

智「ずっと…好きだったんだ…」

一度も聞けなかったその言葉が
もう一度,聞こえる

うるさい…うるさいよ…
だったら,なんで裏切ったんだ

あんな女を抱いて
その痕跡が残った場所で俺を抱いた
俺の面影を追いながらまた女を抱いた

浅はかな行動で仲間に迷惑をかけて
あんたが大事にしてるファンも追い込んで

俺達の一番大事な“嵐”を汚した

あんな女の存在よりも
あんたのやった行動すべてが
俺にとっては重大な裏切り

許せるわけがない…

ゆっくりと,首に手をやって
智の躰を後ろに押し倒した
力を入れることはできずに
両手で首を包む

苦しいよ…
俺は…こんなバカなあんたのことを
未だに好きだってことが…
何より苦しいんだよ

智「俺を殺したい?」

そう聞かれて,頷いた
手に少しだけ力がこもる
それなのに智は微笑んだ

智「殺したいと思うほど…俺を好きでいてくれてたの…?」

その言葉に視界が歪んだ
「思ってること…一度全部言わないと,何も解決しないからな」
ふいに,潤くんに言われた言葉が頭をよぎった
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