第3章 3
Satoshi side
休憩,を告げられて
1人になりたくて歩き始めて
翔「智くん」
聞こえた声に振り返ると
翔くんが小走りで近付いてくる
翔「どこ行くの?」
智「や…特に…」
そう,ってちょっと眉を下げて苦笑してから
翔「自販機,付き合ってよ
ちょっと話そう?」
背中を押されるままに歩き始めた
コーヒーを買って
近くのベンチに腰を降ろして
翔「…大丈夫?」
智「ん…迷惑かけてごめん…」
ふぅー…っと大きく息を吐いた翔くんが
翔「迷惑とか思ってないよ
でもちょっとタイミングが悪かったよね」
智「油断してた…」
翔くんの落ち着いた柔らかい声が
素直に言葉を吐き出させてくれる
翔「彼女,じゃないんでしょ?」
智「違うよ…」
そっかあー,って腕を天井に向けて伸ばしてから
翔「俺は智くんを信じるよ
だからメンバーとしてちゃんと支える
だから,さ
考えることはいっぱいあるだろうけど
今は明日からのコンサートを成功させよう?」
言われて,そうだ,と思う
今やらなきゃならないことは
悩むことじゃなくて
明日こんなことになってしまったけど
宮城まで来てくれるファンを楽しませることだ,と
行こうか,って歩き始めた翔くんは
途中で俺に向き直って
翔「智くん,1つだけ
俺は何もわからないけど
ニノが怒ってるのは何か理由があるんだよね?
ちゃんと向き合わなきゃならないこともあるからね?」
その言葉が俺の中に響いた