第2章 2
Satoshi side
なんとかスケジュールを空けて
ニノの誕生日を祝えて
でも次の日からまた忙しい日々が戻ってきた
個展の準備も最終の追い込みに入って
上海に会場の下見を兼ねて準備をしに行って
それが終わったら次は日本の会場の準備
ニノから
携帯に連絡が入っていて
それには気付いていたけど
忙しさを言い訳に
自分の中のどうしようもない想いから逃げたくて
連絡には気付かないフリをしていた
そんな中リンは頻繁に家に来ていて
忙しい俺に,と
体にいいらしいジュースやら
元気が出るメニューやらを作ってくれて
正直食べてる暇なんてない時もあったし
疲れでまともに相手もできなかったけど
文句を言われることもなくて
だから
煩わしい,と思うこともあまりなかった
上海から帰ってきて
間もなく日本での個展開催,という頃
「智の個展のチケットがとれたの♪」
と嬉しそうにリンが報告してきて
疲れていた俺は
会場にリンが行く危険性も何も考えずに
智「そうなんだ
来てくれてありがとう」
と半分適当に答えてしまっていた