第4章 4
Kazunari side
まだ反省してないのか…
って怒ってやろうとしたのに
智「あの家の想い出を和也と作り直したくて
一緒に入りたかったんだ」
そんなこと言うから
何も言えなくなっちゃった
だって同じようなこと考えてたし…
でも…嬉しいなんて言えなくて
そのまま怒ったふりして
コンビニに入った
仲良く買い物なんてしてたらバレるから
雑誌の立ち読みをすることにした
宮城の最新情報がもう載ってる
あることないこと書いてあったけど
もうあのネタは引きずってなかった
さすがに事務所が動いたな…
智が会計に向かったから
自分でもビールとつまみを少しだけ買って
コンビニを出た
暗かったし,バレた時に
変に距離をとってるのもおかしいから
智の家までは肩を並べて歩いた
やっぱり家が近づくと
蘇ってくる記憶
人目につかない駐車場の入口から中に入って
エレベーターを待つ
和「…智…」
何か伝えなきゃと思って
口を開いたけど
なかなか言葉が出てこなかった
頭の中をめぐるのは
嫌なモノばかりで
泣きそうだった
ちょうどエレベーターが来て
智に手を引かれて中に入る
ギュッと掴まれた手があったかくて
嫌なモノが少しずつ消えていく
和「…好き…だから…」
小さい声でそれだけ言ったら
涙が零れた