第4章 4
Satoshi side
マネージャーの運転に揺られながら
引っ越してから和也が家に
ちゃんと来るのは初めてだな,と思う
1回目は強引だったし
2回目は…押しかけ?
まあ俺が悪かったんだけど
あの家にはあんまりいい想い出がない
でも頻繁に引っ越す訳にもいかないから
だから今日から想い出を重ねなおそう
そう思って
智「家の近くのコンビニで降ろして」
そう声を掛けた
コンサートで家を空けてたから
飲み物とか食べ物とかなんもないし
それに想い出の最初は和也と一緒に始めたいから
静かに車が止まって
「お疲れ様でした」
マネージャーの声を背後に車を降りた
一応キャップを深く被って
辺りを見渡せば
タクシーから降りる和也が見えて
コンビニに向かうその背中に
智「おかえり」
声を掛けると
一瞬びっくりしたように目を見開いた和也が
眉間に皺を寄せて
和「ちょっと来て」
狭い路地に引っ張られた
和「写真撮られたのつい最近だよ?わかってる?」
低い声で窘められて
智「…ごめん
でも,あの家の想い出を和也と作り直したくて
一緒に入りたかったんだ」
それに家,買い物しなきゃなんもないし…
そう言えば
はぁ…と小さくため息をついて
和「バレないようにしてよ
…ほら買い物すんでしょ」
ってコンビニに向かって歩き出した