• テキストサイズ

大野さんのバカ

第1章 1


Kazunari side

新しい大野さんの部屋はもう綺麗に整理されいて,前の家に置いてあった家具なんかはほとんど無かった

だから,どことなく落ち着かない
全然違う雰囲気で少し寂しかった

それなのに…

早く抱きしめて欲しいのに…

大野さんは全然戻って来なくて
一人,変な色のソファの上で丸くなっていた

ふと棚の上に見つけた一枚の絵
大野さんの絵には珍しくカラフルで可愛い印象の抽象画

大野さんてこんな絵も描くんだ…
思わずそのA4サイズくらいの絵を手にとった

和「あ…やば」

なにげなく手にとるとまだ乾ききってなかったのか手にピンク色がついた
仕方なくその絵をそっと持って大野さんの元に向かう

和「大野さんごめん,触ったら付いちゃった」

智「え?それ…」

大野さんに見せると一瞬固まって

でも次の瞬間,持っていた手を振り払われた

カタンと音をたててその絵は床に落ちる

和「わっ…なによ,,あぁもう,乾いてないのに床にもついちゃうじゃん」

拾い上げようとする手を掴まれてシンクの中に突っ込まれた

そこにあった中性洗剤をぶっかけられごしごしと擦られる

その動きは普段の大野さんからは想像できないほど早くて…

俺はあっけにとられ,されるがままになっていた

勢いよく出た水に手が当たると,冷たい水が辺りに飛び散った

和「ちょっと,出し過ぎだって!」

急いで水を止める
手にはもう絵の具の色はなかったけど,擦られたせいで少し赤くなっていた

和「もう,ただの絵の具なのに…それより自分の絵,大事にしなさいよ」

床を見ると絵が裏返しになって落ちている

あぁ,あれは完全に床についてるな…

そんなことを思っていたら
また突然大野さんの手が俺に触れて

今度は柔らかく,強く抱きしめられた
/ 149ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp