第1章 1
Satoshi side
家の場所を聞いてくるニノに答えない俺
なんとかここを切り抜ける方法を
必死に考えるけど
送ってもらう,のに
家を教える以外の手段なんて思いつかなくて
でも教えたら全てが水の泡となる
そう思うのに,駄目だと思うのに
教えてしまえばきっとニノは家にあがる
そうすれば愛しいコイツと触れ合える
そう期待してしまう俺もいて
和「教えてくれないの?」
何で無理なんだ,とニノの苛ついた声で
思考に沈んでいた意識が浮上した
と思ったら車は停車してて
近づいてくるニノ
逃げても更に近づいてきて逃げ場がなくなる
唇が重なって舌が挿入ってきて
いくら人通りがないとはいえ
いつ誰が見てるかわからない外の状況に
智「んっ,ふっ,ぁ…駄目だって…わかったから,家…いこう」
思わず言ってしまって
車は俺の新居に向けて走り始めた
恐る恐る鍵を開けてニノと共に中に入る
視線だけで彼女のモノが見えるとこにないか探して
床に落ちてた化粧品を足で蹴って
ソファの下に追いやる
和「なにしてんの?」
その声にビクッと肩が跳ねそうになって
智「…っ,なにが?」
慌てて平常心を装う
和「いや,挙動不審だよ?大野さん」
智「そんなこと,ないし」
飲み物持ってくる,とニノがソファに腰掛けたのを確認してからキッチンに逃げた