第3章 CARNIVAL NIGHT
チャコ②-1 「夏の風物詩」
<雅>
さっきから…智にぃの機嫌が悪い…
んでもって…その原因は…
今、俺の目の前で爽やかに笑っている…
「えー…東京から…?ご家族でいらしてるんですか??弟さん?みんなご兄弟??かっこーいー♡」
黄色い声が翔にぃを囲んでる
翔「…潤,これ…カズに持って行って…すぐ行くから」
潤「え…あぁ…うん…」
浴衣のお姉さんたちから
潤を守るようにたこ焼きを持たせて
弟たちを遠ざける
慣れてるなー…
翔「で…みなさん,花火を見るなら…神社の方がいいですよ…?こっちは人が少ないですけど…暗くて危ないですから…」
「一緒に見ましょうよ!弟さんたちも一緒に♡」
実は…これで3組目…
翔にぃが声を掛けられて
俺が声を掛けられて…
今の人達は潤くんにしつこく絡んでいた
それを,全部翔にぃが引き受けてくれて
爽やかな笑顔を振りまきながら
丁重にお断りしてくれていた
でも…あのおねぇさんたちは…
強い…
かれこれ5分くらい足止めをくらってる
翔「いえ,僕たちは親戚の家に行きますので…」
「じゃぁ,私達もご招待してもらえませんか??」
…するわけないじゃんっ!!
どんだけ図々しいの!?
思わず近寄ろうとした時
グイッと肩を引っ張られた
“あっち行ってろ…”
智にぃの瞳が俺を睨んだ
翔「いえ…それは…」
未だに爽やかな笑顔で対応しようとする翔にぃの腕を
顔に怒りマークを7つくらい付けた智にぃが思い切り引っ張った
智「翔っ…いいかげんにしろよ…ほっとけ…」
翔「わっ…あっ,ちょ……ははっ…すみません…」
最後までお姉さんたちに笑顔で謝る翔にぃに
智にぃの怒りマークは増える一方だった