第3章 CARNIVAL NIGHT
チャコ①-2 「じぃちゃんとばぁちゃんの家」
<翔>
ばぁちゃん家のすぐそばの渓流に
智くんと2人で野菜を抱えてやってきた
翔「うわっ…つめて~…でも気持ちい~~」
俺はここにくると童心にかえって…
はしゃぎながら川に入る
智「その辺,流れ早いから気を付けろよー?」
翔「大丈夫大丈夫~」
川の中に大きめの石を積み上げて
野菜を入れる堤防を作っていく
川で冷やしたスイカや野菜は
冷蔵庫で冷やすよりも断然旨いっ!!
子供の頃から夏休みはここへ来て
じいちゃんばあちゃんにいろんなことを教わった
だからここに来ると
小学生にでも戻った気分になるから楽しくて
ついついはしゃいでしまう
智「翔くんっ…そっち……っ……から!!」
不意に智くんが何か叫ぶ声が聞こえて
でも川の流れでよく聞こえない…
近くまで行こうと水の中をずぶずぶ進むと
翔「あっ…ぶ…うわぁっ…」
もう少しのところで
のった石がずるっと滑った
智「翔っっ!!」
俺を助けようと伸ばされた手を引っ張って
一緒になって躰が川に落ちた
翔「いってー…冷てーーー…!!」
幸い深くなかったから良かったけど…
助けてくれようとした智くんに
巻き添えを食らわせてしまった
翔「ごめんっ…!!智くん大丈夫!?」
慌てて躰を抱き起すと
パシンと叩かれた
智「バカっ!!だから危ないって言っただろ!?川は危ないんだからなっ!!死んだらどーすんだっ!!」
いつも出さない大きな声で怒鳴られて
俺はびっくりして固まった
智「あんまり奥まで行くと危ないから…ちゃんと近くにいなさい…」
最後は穏やかな口調に戻って
俺をぎゅっと抱きしめてくれた
翔「さとにぃ…」
もう何年も呼んだことのない呼び方が思わず口をついて出た
そう…この人…俺のにぃちゃんなんだよね…
水は冷たくて…躰は冷えていたけど
抱きしめられた温もりが気持ちよくて
ギュッと胸の中に顔を埋めた