第3章 CARNIVAL NIGHT
ちろ①-2 「旅の始まり」
〈 翔 〉
雅「あっちぃー…っ」
駅を出て歩いて少し…
雅紀が着ていたTシャツの裾でバタバタと扇いだ
潤「でも天気よくてよかったじゃんっ」
手のひらで首筋の汗を拭った潤が
言いながらキョロキョロと辺りを見て
潤「あっ,ねえちょっと休憩しようよ♪」
指さした先には小さなソフトクリーム屋さん
翔「潤お前アイス食いたいだけだろ?」
潤「ふふっ…」
智「座れるとこあんじゃん,寄って行くかー」
こういう個人経営ぽいとこって
結構おいしいとこあるから興味はあるし…
せっかくだからと寄り道をして
潤「このチョコ味すげーうまいっ」
雅「やっぱりミックスでしょー♪」
店先に置いてあったベンチで休んでいると
智「翔くんバニラおいしい?」
隣から智くんが覗き込んできた
翔「ん?おいしいよ…っんぅ…っ」
一瞬のうちに
口の中に潜り込んできた舌にアイスを持っていかれた
和「真昼間から何やってんすか」
智くんの隣にいたカズに冷静に突っ込まれて…
赤くなった顔を冷ますように手で扇いだ
智「んふふ…誰もいないからいいじゃん」
食べたかったんだもんと笑う智くんを横目に
翔「もっ…もー行くよっ!?」
立ち上がって歩き始めると
潤「ちょっ…待ってよーっ」
潤が走ってきて
俺の腕に潤の腕が絡んだ
翔「だから外っ…」
そう言いつつも
久しぶりの兄弟と過ごすこういう時間は楽しくて
ばあちゃん家までの道のりは
あっという間だった