第2章 GOLDEN WEEK
チャコ①-1 「迷子の迷子の…」
〈翔〉
翔「もぉ…智くん半分くらい飲んじゃった…」
智「ごめんごめん…美味しかったんだもん…俺のあげるから」
機嫌直して?と差し出されたお茶
でも…気恥ずかしくて受け取れなかった
翔「いいよっ…俺,トイレ行ってくる」
照れ隠しで…逃げるように兄弟から離れた
離れた時間は…
ほんの…5分程度…だったはず…
和「このスムージーうまっ」
潤「ちょ,飲みすぎっ…なくなるっ…」
和「いーじゃんっ…潤くんケチケチしないのっ」
元いた場所に戻ると…
ベンチにはカズと潤しかいなかった
翔「…あれ?智くんと雅紀は?」
潤「え?智にぃは…そこに…」
和「まーくん地図見に行くって…」
それぞれ別の方向を指さした
翔「…智くん…いないけど…」
潤「あれ?あれ??」
キョロキョロしながら潤が立ち上がった
翔「地図って…なんでパンフ見ねーんだよ…」
和「あ~…ですよね~…」
和は笑いながらパンフをパタパタさせた
潤「翔にぃ…智にぃ携帯出ないから…探してくるっ」
潤の声がして,振り向いた時には
もう潤は走り出していた
翔「あっ…おいっ…お前まで迷子にっ…」
俺の声は虚しく遊園地の喧騒に飲み込まれた
和「あーあ…絶対迷子になるね…」
翔「も~…っ世話が焼けるっ…」
和「ふふ♡じゃ,しょーちゃん…2人でデートしよっか♡」
翔「…ほっとけねーだろ~?」
脱力しながら言うと
カズは可愛く笑う
和「ですよねぇ~…もぉ…みんなお仕置きだね♡」
翔「…だな…♪」
二人でにやりと笑い合ってから
気怠そうにカズが立ち上がった
翔「じゃぁ…そっち…雅紀頼んだ…携帯いかしとけよ」
和「りょーかーい…」
カズと別れてすぐ
俺は潤の走った方向に走った
電話をかけても
潤も出ない…
ったく,なんのための携帯だっ…
仕方なく智くんの好きそうな場所を
端から手当たり次第に探していった