第2章 GOLDEN WEEK
チャコ①-2 「迷子の迷子の…」
〈和也〉
雅『あ,カズ―??もぉ,どこにいるの~?迷子??』
スピーカーから間抜けな声が聞こえてくる
和「はぁ?あなたですよ,迷子は…今どこ?」
雅『う~ん…ココ…どこ?』
和「しるかっ」
すぐ迷子になるくせに
勝手にどこかにふらふら行っちゃって
そんでもって必ず…見つけると
「カズ!心配したよっ!!」
って駆け寄ってくる雅にぃ
心配してるのはこっちだっつーの…
雅『ねぇ…カズ,聞いてる?』
和「はいはい…たぶんそれ,さっき居たところの反対側だから…そこに居てください…」
雅『カズ来てくれるの?』
和「うん,だからくれぐれもそこから動かな…」
雅『ありがとうっ!!じゃぁ,アイス買っておくね♡』
ブチっと通話が切れた
…動くなって言ってんのに
何考えてんの,あの人はっ…
思わず傍のベンチに座り込んで溜息をついた
あ~…もぉ…めんどくさい…
ほっといていいかな…
『ほっとけないだろ?』というさっきの
翔にぃの声が頭をよぎった
和「ですよね~…」
なんとなく独り言ちて顔を上げると
目の前にアイスを両手に持った
見知った顔が歩いていた
和「智にぃっ!!!」
思わず叫ぶと
振り向いたその顔が
ふわっと,へらっ,と笑った
和「なにやってんのよ,翔にぃ怒ってたよ?」
智「俺がカフェオレ飲んじゃったからでしょ?だからお詫びに買ってきたぞ?」
得意げにアイスを見せてくる
…うちのアニキたちは
アイスにどんなチカラがあると
思ってるんだろうか…
和「はぁ…ま…いーけど…ちょっと待って…」
智にぃをそこに座らせて
急いで翔にぃに連絡した
和「いい?翔にぃ来るまで動かないでよ?」
智「ほーい」
ったく…子供かっ
和「じゃ,まーくん連れてくるから…」
智「あ,カズ…まちなさい…」
和「何?」
智「これあげる」
笑顔で差し出された
…だから…アイスにそんな効力ないのっ
和「翔にぃと潤くんにあげて」
それだけ言って走り出した
気分よく走れた
まーくんのアイス,全部食ってやるっ