第28章 みかん
うちにはジャグジーがついてて。
そこに皆で入ることがある。
酒も抜けてきてたから、とりあえず全員で風呂に向かった。
服を脱ぎ捨てると、ニノが準備してくれてたみたいで、もうジャグジーにはお湯が溜まってて。
ドボンと浸かってスイッチを入れる。
ぼこぼこと泡が出てきて心地いい。
雅紀が庭側のドアを開けて、外気を入れる。
「あ~外の空気入ると、また違うね~」
そう言って俺の隣りにはいってきた。
向かいにはカズヤが、反対の隣にはニノがドボンとはいってきた。
お湯の中でニノが俺の手を掴んできた。
それをギュッと握った。
「あ、星…」
カズヤがジャグジーのすぐ上にある天窓を見ながら言った。
「あ、ほんとだ」
雅紀がジャグジーから出て、電気を消した。
「少しだけ、見えるね」
ニノが言う。
「3月に山梨行った時、凄く綺麗だったね。プラネタリウムみたいだった」
カズヤの目がいきいきしている。
「寒かったけど、アレ、一生忘れられないな…俺…」
そう呟いたら、全員俺の顔をみた。
「え?」
「翔ちゃんがそんなこというなんて意外…」
またかよ!