第28章 みかん
「翔…俺のこと好き…?」
俺がまだ中にいるまま、カズヤが聞いてくる。
「好きだよ…大好き」
そう言ってぎゅっと抱きしめた。
時々、とんでもなく不安になる時があるらしい。
こうやって確認してくることがある。
そういう時は、俺も雅紀もニノも全力で応える。
今、ニノと一緒に寝続けているのは多分その表れで。
どんなに疲れていても、身体を重ねているニノもわかっているんだろう。
カズヤの不安を。
だから応える。
俺も応える。
多分、雅紀も。
小さな背中をぎゅっと抱きしめて、不安なんて吹き飛ばしてやる。
こうして抱きしめなくてもよくなるまで、ずっと。
そのままカズヤが寝てしまったので、抱っこしてトイレを出た。
寝室からニノが出てきた。
すごく、気まずかった…
風呂にいくところだったので、カズヤを抱えて一緒に入った。
カズヤの中を洗ってやりながら、ちょっと冷たい視線を感じた。
「ら、乱交じゃないからいいだろ…」
「つか、覗いてたでしょ?」
「え…」
「だからカズヤあんなことしたんでしょ?」
ニノ母さんには敵いません…
「ご、ごめんなさい…」
「ん…」
許してくれたら、キスをくれた。
その日は、1階の寝室で川の字になって寝た。
なんか、親子みたいだなって思った。