第26章 ホワイト
「カズヤ…」
俺はカズヤの頭を撫でた。
涙がひくまでだいぶ時間がかかった。
泣きはらした目は、カズヤにわかってしまうだろうか。
カズヤは身動ぎすると、目を薄く開けた。
「にーの…?」
「うん。にーのだよ…起きて?」
「どうしたの…?」
それでも俺は、両親に捨てられることはなかった。
でもカズヤは捨てられたのだ。
その孤独は計り知れない。
「カズヤ、抱いてもいい?」
「……え?」
寝ぼけているのか、反応が薄い。
「いいよぉ…?」
いつものセックスだと思ってる。
違う。
今日は本気でお前を抱く。
抱いてやる。
「じゃあ、寝室いこうね?」
そう言って俺は立ち上がらせた。
手を引いてカズヤを寝室に連れて行った。
「眠い…にーの…」
「うん…ちょっとだけ我慢してね?」
そう言って寝室のドアを開けると、カズヤは少し目を開いた。
「翔と雅紀は?」
「一階で寝てるよ?」
「今日はにーのだけなの?」
「そうだよ」
カズヤはちょっと戸惑っていた。
こんなこと初めてだったから。