第26章 ホワイト
「にーの…抱っこ…」
甘えた声で言うから、寝転がって抱っこしてやった。
「甘えん坊…」
「にーのの抱っこ好きだもん」
甘ったれた声でいうから、デコピンをかましてやった。
「いたい…」
まだ寝ぼけている。
面白い。
今度は脇をくすぐってやる。
「やぁっ…やあだっ…にーのっ」
カズヤがむふふと笑う。
この期に及んでまだ寝ぼけている。
面白いおもちゃだ。
笑い袋を気が済むまでくすぐったら、眠ってしまった。
「若いって、眠いもんよね…」
そういって俺は背中を擦った。
いい顔をして眠るようになった。
手首の痣は、もう消えた。
俺もそのままカズヤを抱っこして眠った。
今日はオフだ。
カズヤも塾が休みだし。
ゆっくりしよう。
そう思っていたら、とろとろと眠りに引きずり込まれた。
唇になにか当たってる。
なんだろう。
これまでの経験では、これは唇だ。
あれ?
目を開けると、ドアップで翔さんの顔があった。
「ふぁっ!?」
「あ、起きちゃった?」
笑いながら翔さんの顔が離れていく。
「ずいぶん寝てたね…」