第26章 ホワイト
俺達と暮らしていることを了承してもらうため、翔さんがご両親に会いにいったのだ。
その時は良かったのだが、後になってカズヤへの送金をやめると言い出した。
”そんな障害のある子、いりませんから”
俺達にはっきりと言い切った。
頭に血が上った。
カズヤもそれを聞いていたが、何の表情もなかった。
慣れている。
そう思った。
でも、こんなこと慣れちゃだめだ。
泣けよ。叫べよ。
お前の年頃なら、それが当然なんだ。
なんでできないんだ。
せめて俺達の前だけでも出せよ。
結局、新宿のマンションを売り払ったお金を大学の資金に充てることになった。
それでカズヤへの援助はこれっきりにしてくれと言われた。
後はご自由にどうぞ、と言わんばかりだった。
俺達はそのかわり、保護監督権を得た。
養子とか大げさなものじゃないけど、両親から委託されているという形になった。
弁護士を入れて、正式に書面にした。
それがこの前、済んだ。
カズヤはこの件に関して、なにも言わなかった。
でもこれでもしカズヤのことをすっぱ抜かれても、堂々としていられるようにはなった。