第26章 ホワイト
その姿勢のまま、俺の顔をじっと見た。
「ん?どうしたカズヤ」
「…キスしたい」
「ん…」
時々、こうやってねだってくる。
唇に触れるだけのキスをしてやる。
唇を離すと、何か言いたげな顔をする。
「なに?」
「にーの…なんで?」
「え?」
「なんで…にーのは…」
言いかけてそのまま黙ってしまう。
何でそれ以上しないかって言いたいんだろう。
なんとなく、俺にはできなかった。
カズヤは翔さんと相葉さんのもので。
俺も翔さんと相葉さんのもので。
それに最初からそんなつもりないし。
「大事にするのも、形があるんだよ。カズヤ…」
いつもそう言い聞かせてる。
そういうとカズヤは頷く。
こいつがゲイだってのは知ってる。
俺は翔さんと相葉さん限定のゲイだ。
これ以上のことはできないと心のどこかで思ってる。
俺達の不思議な関係は、誰にも理解されないだろう。
それはそれでいい。
だけど、自分たちまで訳がわからなくなるのはどうかと思う。
ただでさえ、わけわからないのに…
「にーの…好き」
甘えた声でカズヤが言うたび、俺の中で何かが疼いた。