第26章 ホワイト
10月に入って、ツアーの準備が大詰めを迎えた。
俺達はそれぞれ、リハーサルで別々に帰ることが多くなった。
結構遅くなることも多くて、カズヤを一人にしておく時間も多くなった。
カズヤはよく勉強した。
将来なにかなりたい職業があるらしい。
それが何か、俺達には恥ずかしがって言わない。
全国模試の結果を見て、度肝を抜かれた。
8位に入っている。
結果の用紙を落としそうになった。
「おっ…お前っ…コレ…」
「え?」
「なにこれ…」
「ダメだった?」
「凄いだろ…」
「ほんと?凄い?」
そういうとカズヤは俺の懐に飛び込んできた。
「ごふっ…」
「褒めて?」
むせながらギュッと抱きしめてやる。
ソファに寝転がりながら、用紙をまじまじと見る。
「はぁ~…これ、お前、翔さんよりいいんじゃないの?もしかして」
「ほんとに?だって翔、慶応でしょ?」
「いや、お前これなら東大いけるんじゃないの…?」
「いける?」
「うん…断言はできないけど…」
そう言って髪を撫でてやると、カズヤはふんわり笑う。
「翔も雅紀も喜んでくれるかな…」
そう言いながら俺のシャツをぎゅっと握った。