第25章 ベルフラワー scene2
「だからあいつらと一緒に考えてたんだよ…どうしていけばいいかって」
「大野さん…」
「あいつらに、礼いっとけよ」
「うん…」
「それから」
「え?」
「久しぶりに愛してるって聞けて嬉しかった」
そういうと、俺を振り返って微笑んでくれた。
するっと心に大野さんが入ってきた。
もう…
やっぱりこの人しかいない。
俺が愛するひと。
繋いだ手のぬくもりが、今更熱く感じた。
涙が出てきた。
目の端で止まるようにするのが、苦労した。
その日から、俺は”愛してる”ってまた言えるようになった。
大野さんが絵の前でウンウン言ってる。
アクリル絵の具を握りしめて、なんの色を使おうか悩んでる。
俺は台本を読みながらその背中を眺めてる。
また寝ぐせがついてる。
シャツがめくれ上がってる。
直してあげたいな…
でも今は集中してるから、後にしよう。
俺は黙ってコーヒーをいれにいく。
キッチンに立っていると、後ろに大野さんが居た。
「わっ…びっくりした」