第25章 ベルフラワー scene2
「潤は柔らかすぎんだよ…」
ブツブツ文句を言いながら俺の方を見てる。
体側を伸ばしたら、足の方に向かって身体を倒す。
床につけている足の筋を伸ばす。
これも最初はできなくて。
骨盤がどうしても横を向いてしまう。
大野さんを見たら、もうそれどころじゃなくて。
バーに遊ばれているようだった。
「んあー!っなんでこんなことできるんだよっ!!」
もう叫んでいた。
俺はとうとう笑いが止まらなくなった。
苦しくてバーから足をおろしてしまった。
「…そんなに笑うことないだろ…」
顔を真っ赤にして大野さんが言う。
俺は大野さんの後ろに行って、身体を支えた。
「はい、持ってるから倒して」
そっと腰と足を固定する。
大野さんはおっかなびっくりで身体を倒す。
「いていていていて…」
腰が出てくるから押さえつけて、正しい位置に戻す。
足もずれてくるから、足を使って戻す。
正しく伸ばさないと怪我をしてしまう。
現に大野さんの右膝はそれで痛めて、今だにサポーターをつけないといけなくなってる。
正しい位置で踊ることが、怪我を防ぐ一番の近道なのだ。