第25章 ベルフラワー scene2
小さなビルの3階に連れていかれた。
中に入ると、ダンススタジオで。
受付の人が鍵を開けてくれて。
中に入ったら、音楽のデッキとバレエのバーがあるだけのスタジオだった。
「潤。久しぶりにレッスンしよう」
大野さんはカバンからシューズとジャージを取り出した。
俺の分も持ってきてくれていた。
以前、二人で海外までダンスレッスンに行った。
それを再現しようとしていた。
大野さんがデッキにCDを入れて、音楽を流す。
壁一面の鏡に、バレエのバーが付いている。
それに足を掛けると、筋を伸ばし始めた。
片足をバーに乗せてしゃがむ。
「くぅ~…コレきくわ…」
ひとりごとを言いながら、黙々と身体を伸ばす。
俺も足をバーに掛けて、同じ姿勢を取る。
「なんでお前そんなに伸びるんだよ…」
「知らないよ…大野さんが硬すぎるんだろ…」
そういうと苦笑いをした。
まっすぐ鏡に向かって、自分の身体を整える。
すっと背筋を伸ばすと、体中の血液がざっと流れていくようだった。
そのままバーに掴まって身体を横に倒す。
限界まで体側を伸ばす。
ここがいつも伸びなくて苦労する。
横を見ると、大野さんは全然できてなくて。
思わず笑ってしまう。